エナメル上皮腫というのにかかって入院したよ

こんにちは。

今回は専門用語は多少はしょってわかりやすいように書いてみています。もしご質問などがあればコメントくだらい。メールアドレスなどを記載していただければ直接回答できるものはします(メールアドレスは公開されません)。

数ヶ月前に歯科の定期検診で下あごに空洞のようなものがあるのを指摘されました。

歯根嚢胞というものではないかということで、最初は根管治療をおこなったりしてもらったりしたのですが改善がみられない。というわけで大学病院に紹介してもらい、

CT→MRI→生検

という流れとなりました。私の仕事は医療系なのでアレなのですが、ざっくり説明しておくとCTでは骨吸収像と腫脹(腫れ)がみられていて内部は空洞っぽい感じ、ただしこの時点では質的な(○○病ですよっていう)診断はできないとのこと。

無理やりMRIを30分以上占領し(受診してます)画像を撮ってもらいましたがやはりあまり質的診断はできないようでした。しっかりとした診断には造影MRIを撮る必要があるようなのです。自分で画像をみたかぎり、DWI high signalだったから膿瘍とかだったらいいな、それだったら大きく切らなくていいのになとこのあたりでは思っていた。でも膿瘍だったら熱でるしそもそも虫歯もないし、まあしょうがないかなあ、とあきらめの境地でもあります。

やっぱり診断がつかないとのことで、外来で局所麻酔下で生検を行いました。病理の結果が出たのが2月1日。ちなみにこの病気は男性>女性で頻度が高く、普通は奥歯の下>上にできることが多いのですが、なぜか自分は別のところにできてしまいました。頻度的にはかなり珍しいようです。良性腫瘍(隣の組織に浸潤することがない)と言われていますが、再発することが多く、欧米などでは境界悪性にカテゴライズされており、しっかり切除をしないといけないようです。

ちなみに悪いところだけコロっととるというわけにはいかず、ある程度のマージンをとって大きめに切り取らないといけないわけでして、顎でマージンを取りまくると残念なことに顎が無くなってしまう、という恐ろしいことがおこります。アホみたいな記載ですがものすごく乱暴に書くとそういうことになります。マージンをどのくらいとるかとかは主治医の先生に聞きましょう。

生検の病理結果が出たからには入院して手術なわけです。

生検結果→入院→手術→手術診断→病理組織診断(確定診断)

大学病院の予定入院は、流れ作業のようにいろいろ進んでいきます。画像は一通り検査が終わっていたので、追加になったのは術前検査(採血と胸部のX線写真)。これは外来で終わり。

入院前に入院係の看護師さんとお話し。手術中は鼻からの挿管になるとのことで、一応鼻の穴の大きさとかをお伝えしたりなどしてみました。質問の内容はあらかた高齢者対象のようで、簡単な認知力テストみたいなのが含まれていました。さすがにまだそれはいらないと思いながらも、マニュアルでそうなっているならしょうがないようなあ、と「たまごやき」を後ろから読まされたり「今からいう3つの単語を覚えておいてください」を頑張って覚えたりしました。あと、「いざというときにどういうような対応にするとか、ってご家族とお話しされたりしていますか?」という非常に婉曲な質問をされました。

業界の人ならわかると思います。「あーDNARでいいです」

別に看護師さんや病院を悪くいうつもりはありません。だって誰にでも聞かれますもんね。病院の人はみなさん親切で好感が持てましたが、なんとなくマニュアルに沿って動いているな、って思うことがたくさんありました。そもそもこの年齢で不測の事態が起きたときに何もしないってことはあり得ないと思います。

麻酔科の問診の外来を受診するか、入院当日にするか、とのことで入院当日を希望。保険の関係で外来でできることは外来で済ませるのが昨今の流れです。

手術は入院翌日ということになりました。初めての入院でどきどきです。持ってきてほしいものをいろいろ言われましたが、究極的には何も持っていかなくてもなんとかなります。

  • バスタオル
  • 寝巻き(レンタルあり)
  • おむつ1〜2枚(まあ売店でも売ってるし、そもそも病棟にわんさかある)
  • ティッシュペーパー
  • 不織布マスク
  • 歯磨きとかお泊まりグッズ

口の中の手術で骨を削ることになるので、傷がどのくらいで塞がるかわからない、という主治医の先生のお話しで、長期入院を覚悟し家にあった一番でかいスーツケースを用意しました。用意した大量の暇つぶしグッズは

  • Macbook air
  • 無線LANルーター
  • 英語の教材
  • ロシア語(今やらんでいつやるか)の教材
  • マンガがいっぱい入ったタブレット

などなど。ノートパソコンを新規購入しました。アホですね。

おむつは1パッケージ購入しましたがだいぶ余ってます。

というわけで入院ですが、麻酔科の問診が朝イチにあり、鼻の穴の話をまたすることに。そのまま入院ですが、前の人がチェックアウトしていないらしく結構待たされました。入院後唾液で新型コロナウイルス感染症のPCR検査を行いました。入院するとすることはなくって、なんというか鍵のかからないホテルみたいな感じです。いろいろ考えて今回は術後しばらくまで個室を選択することにしました。

初日はなんだかんだでそのまま終わり、シャワーを浴びて普通に寝ました。前日9時以降は食事は禁止、OS-1を朝7時くらいまでに2本飲むように、とのことで、OS-1のんでも全部おしっこで出ちゃいそうだなあと思いながら、翌日もしっかり朝6時に起きました。少なくとも血管内脱水にはならないのでしょう。朝点滴をとってもらいました。

手術は他の科のあととのこと(オンコールという)で、いつ呼ばれるかわかりません。手術時間が決まったのは「あ、これからいきます」というタイミングでした。普通はこんなことはまずないと思いますので安心してください。

建て増しをくりかえした病院をいろいろさまよいながら手術室へ。いつも手術ってなかなか始まらないんだよなあ、とか思っていたらあれよあれよという間に手術台の上にのせられ、じゃない自分で乗っかり、マスク越しにフェイスマスクがつけられ、あれれと思っていたらおそらく麻酔導入で寝てしまいました。

目を覚ましたらもう病室に。舌で触ってみると歯が無くなっているのがわかりました。ちょっとがっかりしますがしょうがありません。あとはお○ん○んの管が入っていましたがしっかり見学する気にもならず、どうも痛み止めの麻薬が効いていてなんとなくくわんくわんな状態で、多分10時45分くらいに病棟を出て13時45分くらいに帰ってきたので実質2時間くらいの手術だったのではないかと思います。術後は鼻血が結構続いて苦労しました。 しばらくうとうとして歩けるようになったとのことで尿道カテーテルは抜いてもらいました。19時からのオンライン会議に出席したりして無謀なことをしたもんだ。

食事は当日から食べることができましたが、最初はお粥。全粥軟菜とのことですが、「かゆ、うま・・・」という感じです。普通のカロリー量にするとお粥の量は丼1杯になり、看護師さんがドン引きしておりました。点滴は抗生剤の投与があるためしばらく続いています。5日分だったかな。スルバシリンを1日2回。もっと回数あってもいい。

これも3日目くらいには普通食に切り替えてもらいましたが、エビフライやら果物やら、なんとはなしに食べれていたものを食べるのにすごく苦労しました。お年よりは硬いもん嫌いだよね、って言っていましたが、「硬いものが嫌いなんじゃなくて、硬いものが好きでも食べれないから仕方なく柔らかいものを食わされている」ということがわかりました。他人の気持ちになって考える、っていうことができていないことを実感。

2週間くらいの入院を覚悟するように、と言われていましたが、5泊6日の入院で勘弁してもらいさっさと帰ることにしました。最後の2日は隣の部屋から人工呼吸器と輸液ポンプのアラームがなっており、なんというか複雑な心境。

結局英語は1ヶ月分の教材と、ロシア語も1ヶ月分の教材をやり、あとはあんまり何もできませんでした。ウクライナ情勢ばっかり見ていた気がします。体が鈍るのがいやだったので1階の売店とかなり上にある病棟をわざわざ歩いて登ったりしてなどしましたが、やっぱりやることがないと寝てばっかりになります。お年寄りが夜間不穏になるのもわかる気がしました。

個室入院で、コロナウイルス感染症で面会がない状態だと、1日にほんとうに会話を数件しかすることがありません。SMSとかで友人が相手をしてくれたりして大変に助かりました。ネットの端から感謝の気持ちをお伝えしておきます。

いろいろ検査や手術を急いでいただいた主治医の先生方、親切な病棟の看護師さんにも感謝いたします。差し入れはハーゲンダッツがいいと思います。

ちなみに、今回「どこの病院がいいか」ということはほとんど考えずに地元の大学病院一択でした。そもそも歯科・口腔外科で大きい手術を行える施設は全国探してもあまり多くないです。技術的にもどこの病院がすごい、とかそういうこともあまりないと思います。画像での診断はかなり難しいので、セカンドオピニオンとかを考えても結果は変わらないと思いますし、結局病理学的にさっさと診断してもらって進行するまえに処置してもらうのが一番いいと思います。

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